絡み織の家・改修 / 2014

  

 

1990年に建てられたリゾートマンションの1住戸の改修である。
部屋が面する海の色はとても美しく、水色、群青色、藍色、コバルトブルー、灰青色、緑、黄、桃色、薄紫色と様々な色の重なり合いを見せる。建主はそんな海を眺めながらお酒を傾けるのを楽しみに、都内から月に数日この部屋へやってくる。日常から離れ、特別な部屋で美しい海を眺める。そんな気持ちを高揚させる手助けをしたいと思った。そこで壁や天井を剥がし躯体を現した中に素地の木の家具を配する、というような2000年代に多く見られた改修方法に、地域の技術を用いたしつらえを加えることにした。遠州地方の絡み織という技法で織られた蚊帳生地を草木染めし、数枚合わせて壁とした。一人で滞在するときは開放的に使用するが、ゲストと泊まる際は海のように色を重ねた曖昧な境界で仕切るなど、別荘としてのつかいかたを広げるためのしつらえでもある。

 

設計
立花美緒設計事務所
計画地
静岡県